電気設備工事を請け負う企業の皆様、古い製本図面や紙原稿のデジタル化に時間とコストを奪われていませんか?
「CAD化したいけれど、手入力は高くて時間がかかる…」
今回は、まさにその課題に直面されていた電気設備会社様の事例をご紹介します。
弊社の「自動認識」と「優先補正」を組み合わせたトレースにより、低価格と短納期の両立を実現し、無事、着工に間に合わせた成功事例です。
目次
1. お客様の現状と切実な課題
今回ご依頼いただいたのは、ビル内電気設備の改修工事を控えた電気設備会社様です。
- お客様: 電気設備会社 R社様
- 対象図面: 既存の電気設備平面図(A1サイズ、約10枚)
- 現状: 分厚い製本された紙原稿しか残っておらず、一部は経年劣化で線がかすれ、色も変色していました。
お客様のご要望
CADデータ必須:改修設計のため、CADで自由に修正・編集可能なデジタルデータが絶対に必要。
納期:工事の着工日が迫っており、何が何でも納期に間に合わせたい。

従来の「すべてを熟練オペレーターが手入力する」方法では、費用が膨大になり、納期も間に合わない可能性がありました。
2. 弊社の「低価格・短納期」を実現する2つの提案
私たちは、お客様のコストとスピードのニーズに応えるため、従来の全手動トレースではなく、以下の2つの技術的提案を行いました。
提案1:CAD作業効率を最大化する「高精細スキャニング」
まず、劣化が進んだ製本図面を、一般的なスキャンではなく、高精細なスキャナーでデジタルデータ化しました。
これは単なる画像化ではありません。図面のコントラスト(白と黒の差)を最適化し、細い線やかすれた線も可能な限りシャープに浮き立たせます。この一手間をかけることで、後の「自動認識の精度」が劇的に向上し、手動補正にかかる時間を大幅に削減できるのです。
提案2:自動認識(ラスベク変換)+重要箇所の手動補正
CAD化のメイン工程では、図面全体に対し「自動認識(ラスベク変換)」を適用し、大半の線を機械で処理します。
1.【高速処理】自動認識で「骨格」を一気にデジタル化
高精細スキャンデータに対し、高性能なラスター・ベクター変換(自動認識)ソフトを適用。壁、大枠、多数の配線ルートなど、図面の「骨格」となる部分を機械が一括でCADの線データ(ベクター)に変換しました。
2.【正確性を担保】「電気シンボル」と「寸法」のみ手動で優先補正
自動変換では、どうしても小さな電気シンボル(コンセント、照明器具、スイッチなど)や、厳密な寸法線にズレが生じます。そこで、電気設備に必須のシンボルや主要な寸法線に絞って、熟練のオペレーターが手動で正確に再入力・補正を行いました。
このアプローチにより、全工程の8割を機械による高速処理に任せ、残りの2割(重要部分の仕上げ)のみに人的工数を集中させることができました。
3. 成果:費用を抑え、無事着工に間に合う
結果として、R社様は従来の全手動トレースに比べて、大幅なコスト削減と納期短縮を実現することができました。
| 項目 | 従来の推定費用(全手動) | 弊社による実績 | 改善効果 |
| トータル費用 | 約45万円 | 約30万円 | 約35%のコストダウン! |
| 納品までの期間 | 約2週間 | 約1週間 | 納期を半分に短縮! |
| 納品データ | DWG形式(AutoCAD) | DWG形式(レイヤー整理済み) | 即座に修正・編集可能 |
R社様からは、「着工まで時間がなく焦っていましたが、予想以上のスピードで高品質なデータが手に入り、すぐに改修設計に取り掛かれました。費用も大きく抑えられ、非常に助かりました」と、高い評価をいただきました。
4.まとめ
古い図面のCAD化は手入力だけではない!最適なソリューションを
製本図面や古い紙図面のCAD化というと、「高額な費用」「長い納期」がつきものだと思われがちです。
しかし、自動認識と手動補正を組み合わせたCAD化方式なら、以下の3つを同時に実現できます。
- 低価格
- 短納期
- 高品質
改修・改築工事、図面管理の電子化などで、紙図面のCAD化にお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。図面の状態を拝見し、最適なコストと納期でご提案させていただきます。