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プロが教える「スキャニングによる地図や古地図のデータの活用方法!高精度な座標補正と編集方法を大公開」

投稿者:大圖 建一

座標補正や編集の精度を高めることで、地図データが活用される場面が広がることをご存じですか?

たとえば防災や歴史的な変遷の可視化などにも活用できます。

本記事では、地図原稿のスキャニングからGIS上での使用に至るまでの注意したい点を解説していきます。

正確な座標補正や編集手法をほどこし、地図データを効果的に活用しましょう!

目次

地図をスキャニングするときの注意点

まずは原稿に適したスキャナ機を選定することが重要。

地図原稿には縮尺に合わせた様々なサイズや作成時期による多数の紙質が存在するので、紙質に適したスキャナ機の選定をおこなわないと、地図のズレや画像の歪みの原因となります。

次にスキャニングの設定。スキャナ機の設定にて原稿に適した設定をおこなう必要があります。原稿に適した最適な品質でスキャンが出来るよう色を始めとした様々な設定をおこないます。

解像度は高めとし、色彩設定はモノクロまたはカラーを適切に選択することが必要です。

画像補正をおこなうときの注意点

スキャンした地図の画像は、紙の曲がりやシワ、色の退色などの影響を受けることがあるため、画像補正を行う必要があります。

画像補正には、歪み補正、ノイズ除去、色補正などが含まれます。

歪み補正は、地図の歪みを修正し、正確な地物の位置情報を取得するために、地図の辺や角の位置を基準として補正を行うことです。

ノイズ除去は、スキャン時に生じた画像のゴミや線のノイズを取り除き、地図のクリアな画像を得るために行います。

色補正は地図の色の退色を修正し、元の地図の色に近づけるために、色の調整を行うことを言います。

座標補正をおこなうときの注意点

スキャンした地図には、基本的に地理座標情報が含まれていません。

そのため、GISに活用する場合、座標補正を行って地図上の地物の正確な位置情報を得る必要があります

座標補正には、地図上の地物の位置を特定し、その位置を地理座標に変換する作業が含まれており、例えば、地図上の交差点や河川の位置を地理座標データと照らし合わせて特定し、座標情報を補完するなどの作業があります。

また、地図の縮尺や投影法の情報がない場合には、縮尺や投影法を推定するための解析を行い、正確な座標補正を行う必要があります。

空間参照情報付与をおこなうときの注意点

GIS上で地図を正確に位置付けるためには、地図の空間参照情報(地理座標系、縮尺、投影法など)を付与する必要があります。

スキャンした地図には元々空間参照情報が存在しない場合があるため、これを補完する必要があります。

空間参照情報の付与には、地図上の地物の位置情報を地理座標に変換し、適切な空間参照情報を付与する作業が含まれます。

これにより、GIS上で正確な地図の位置情報を表示し、地物を正確に位置付けることができます。

精度検証をおこなうときの注意点

スキャンデータを作成した後には、その精度を検証する必要があります。地図上の地物の位置情報が正確に取り込まれているか、空間参照情報が正確に付与されているかなどを確認し、必要に応じて修正を行います。

また、元の紙原稿の地図とスキャンデータを比較して、データの一貫性を確認することも重要です。

地図データをGIS上で活用する際の注意点

スキャニングした地図画像をGIS上で使用する為には正確かつ信頼性のあるデータを作成する必要があります。

これにより、スキャンデータを有効に活用して、GISシステムをより正確な地理空間情報を基に運用することができます。

以下にその一例を記載します。

CAD入力・GIS座標補正の事例に関しては、以下のページにも掲載しております。

大判製本図面スキャン CAD入力・GIS座標補正 ご利用例

測地系の統一

世界各国や地域には、異なる測地系が存在しています。測地系は地球の形状や測定の基準に関する規定を定めたものであり、地図上での位置情報の表現方法に影響を及ぼします。

スキャンデータをGIS上に取り込む際には、測地系の統一が重要です。異なる測地系を使用している地図データを統合する際には、測地系の変換が必要となります。測地系による座標のずれを修正し、統一された測地系でデータを取り込むことで、正確な位置情報の表示や分析を行うことができます。

一般的に、以下のような測地系が存在しています。

緯度経度系: 世界的に最も一般的に使用されている測地系であり、地球を球体または楕円体として扱い、緯度と経度によって位置を表現します。代表的なものとして、WGS84(World Geodetic System 1984)があります。

平面直角座標系: 平面上での直角座標を用いて位置を表現する測地系であり、地球を平面に投影して扱います。国ごとに独自の平面直角座標系が存在し、例えば日本国内ではJGD2000(Japanese Geodetic Datum 2000)が使用されています。

地心楕円体: 地球を球体ではなく楕円体として扱う測地系であり、地球の形状により精密に位置を表現します。例えばGRS80(Geodetic Reference System 1980)やGRS67(Geodetic Reference System 1967)などがあります。

これら以外にも、国や地域によって独自の測地系が存在することもあります。スキャンデータをGIS上に取り込む際には、地図の測地系に合わせて適切な座標系を選択し、座標の変換を行うことが重要です。

測地系の統一を行うことで、地図データの位置情報の一貫性を確保し、正確な位置情報を活用することができます。

データの精度評価

スキャンデータをGIS上に取り込んだ後には、データの精度を評価することが重要となります。スキャンデータは紙原稿の地図を元に作成されていますが、画像補正や座標補正の過程で誤差が生じる可能性があります。

そのため、データの精度を確認し、必要に応じて修正を行うことが重要です。精度評価には、地図上の地物の位置を実地調査や他の正確なデータと照合するなどの方法があります。データの精度を確保することで、正確なGISデータを活用することができます。

以上のように、スキャニングした地図をGIS上に取り込む際には、画像補正や座標補正に注意し、測地系の統一やデータの精度評価を行うことが重要です。これにより、正確な地図データを作成し、GISシステムでの効果的な活用が可能となります。

まとめ

地図スキャニングとその後のデータ処理は、GISを効果的に利用するための重要な作業です。これらの作業を行う際には、スキャン設定、画像補正、座標補正、測地系の統一、そしてデータの精度評価など、様々な点に注意を払う必要があります。

それぞれの作業が地図データの質と精度に直接影響を与え、結果的にGISの分析結果にも影響を及ぼします。

データの質を確保することは、GISを用いた地理情報分析の精度を高めるために非常に重要です。本記事が、地図スキャニングとその後のデータ処理における正確な手順を理解し、効果的なGISデータを作成するためのお役にたてれば幸いです。

投稿者:大圖 建一

大圖 建一
スキャンサービス代表。 2級土木施工管理技士をもつ図面のプロ。設計業務に10年従事し、その後スキャン業務の責任者になる。図面の中身を理解しているからこそ、大判図面のスキャンからCAD化、GIS化まで活用性を見いだせる能力を持つ。最近は、仕事とゴルフと家庭を円滑にすることが難しいと感じている。 大図(おおず)は本名で偽名ではない。